アルファロメオ155は
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ドライビングの楽しさと独特なデザインに惹かれてV6のアルファロメオ155を二年前に購入した。車での移動が多く、すでに五万キロ以上操ったことになる。非力であり決して速くはないものの官能的なエンジン音と、柔らかいながらもコーナーでは破綻しないサスペンションにはそれなりに満足している。五人乗っても余裕のあるキャビンと、広大なトランクも実用的だ。
しかし欠点をあげようとするとキリがない。まず155の特徴でもあるのだが、カチッとした日本やドイツのスポーツカーのフィーリングとは似ても似つかない。ボディがやわらかいなんてもんじゃないのだ。もうクニャクニャだ。コーナーリングの最中、ボディのよれでドアとの隙間から雨漏りさえする時がある。それ故走っていると、ドアの辺りからキュルキュル、キュルキュルと壮大な音を発し続ける。
イタ車といえば「すぐ壊れる」というイメージを持つ人も多いだろう。私の場合にもご多分にもれずマイナートラブルは相次いでいる。とりわけ電気系のトラブルは後を絶たない。例えばAMラジオ。点火系のリークからか、雑音がひどく聴けたものではない。
四〜五人が乗った寒い日などはデフロスターをかけても、内窓の曇りはとれない。これは多湿の日本とは違う、乾燥した地中海性気候のお国柄か。
パワーウインドウも動くか動かないかはご機嫌次第だ。燃料を噴射するインジェクターのリレーも故障して、突然エンジンがとまってしまうこともある。
また膝のところあたりにあるリアデフロスターのリレーも、クラッチ操作の時によく当たる。はずれてしまったりもする。このような「細かい」ことは気にしてはいけないのがイタリア車なのだ。
マイナートラブルというにはあまりに危険な話もあった。一番悩まされたのはブレーキだ。直しても直してもブレーキオイルはどこからともなく減っていき、ブレーキフルードの缶をついには持ち歩くようになった。継ぎ足し継ぎ足し走っていたのだ。ついにはマスターシリンダーの圧が抜けてふかふかになった。こんな危険な故障は滅多にあってほしくない。
「ステアリングを握って楽しければそれでいいじゃないですか。細かいところを気にしているとイタリア車には一生乗れませんよ」とは、車屋のお兄さんの言葉である。改めて自分が日本人であることを自覚させられる。