荒・今井・前田側が提出した準備書面(1)。
「平成16年(ワ)第11258号」は第1訴状の事件番号。
「平成16年(ワ)第17780号」は第2訴状の事件番号。


荒・今井・前田準備書面(1)




平成16年(ワ)第11268号
平成16年(ワ)第17780号
原 告  佐藤 聡
被 告  政治組織「ブント」外


準 備 書 面 (1)


2005年3月28日

東京地方裁判所民事第1部合1係 御中

被告ら訴訟代理人 弁護士 内 田 雅 敏
   同         清 井 礼 司


第1
 平成16年(ワ)第11268号についての被告荒岱介及び同今井俊政の認否・反論

0 
被告ブントについては原告の主張整理を待って行う。
1 
請求原因1(2)について
 (1)
 適示記事の筆者が文人正であることは認めるが、被告荒は文人正ではなく、同記事の筆者ではない。
 (2)
 被告今井が適示記事の筆者であることは認める。
2 
同2(1)について
 (1)
 同①について
( i
)第1段階は、被告荒がブントの代表であるとの主張は争い、その余は認める。原告は会場内で、ブント組織の破壊を狙ったことを意味する「ブント清算事業団管財人 佐藤悟志」作成名義で「1997年0708日新宿ロフトプラスワン 荒岱介(あらたいすけ)弾劾人民裁判に全ての活動家は結集せよ!」と題するビラを挑発的に会場で撒き、これに異議を唱えた者「H君」をひっぱ叩いた。これが一連のトラブルの具体的な始まりである。
(ii
)第2段階は、原告に対するヤジが飛んだことは認めるが、その余は不知。
 (2)
 同②については、トークイベントのあることは知っていたが、その余は不知。被告らはロフトプラスワンには行っていない。
 (3)
 同③については不知。なお「入り口付近の階段」は数段で高低差は1メートル位である。
 (4)
 同④については不知。なお「演壇」はフロアから30センチ程度の高さである。
3 
同2(2)について
 (1)
 同①については不知。
 (2)
 同②については「組織的・計画的襲撃の事実を隠蔽するために虚偽の経緯や原告による暴力を捏造し、それを宣伝した」との主張及び「被告らは」は否認し、その余は認める。なお7月16日当日、原告がナチス棒(特殊警棒)と催涙スプレーを所持していたのは確認されている。
 (3)
 同③については「さらに原告による暴力等を捏造し、それを宣伝した」との主張及び「被告らは」は否認し、その余は認める。2(1)( i )のとおり、原告の7月8日の「H君」に対する暴力から一連のトラブルが始まった。
 (4)
 同④については「『原告による暴力』なる捏造した虚偽事実をさらに宣伝した」との主張及び「被告らは」は否認し、その余は認める。
 (5)
 同⑤については「組織的・計画的襲撃の事実を隠蔽するために再び原告による暴力を捏造し、それを宣伝した」との主張及び「被告らに」は否認し、その余は認める。
 (6)
 同⑥については「被告らは」は否認し、機関誌に適示記事の掲載のあったことは認め、その余は被告田中の主張に拠る。
4 
同2(3)について
 (1)
 同①のうち平成12年6月15日の分について、原告はジャーナリスト木村愛が主宰し、宮崎学などとともに被告荒も呼ばれていたイベントに乗り込んできてブントを誹謗中傷するビラを撒いたことは認め、その余については被告荒は否認する。平成12年6月15日、原告はメガネを割るなどもみ合いになったとき、被告荒は間に割って入って止めている。又、事務室に閉じこもっていた原告を保護した。被告今井は「被告らは」を否認し、事実関係については不知。
 (2)
 同①のうち平成13年10月21日の分についてはトランジスタメガホンが壊れたとの主張は不知。その余は否認する。
 (3)
 同②については争わない。
5 
同2(4)は争う。
6 
同3について、第1文については否認し、第2文は不知。
7 
同4については争う。
8 
平成16年11月1日付訂正申立書5について
「被告ブントの代表者の名前が荒岱介である」との主張は否認する。
9 
同7について、「被告文人正こと荒岱介」は否認し、川島が「ナンバー2であった」との主張は不知。その余は認める。
10 
同8について「被告ブント系列の」及び「被告ブントの」との主張は否認し、その余は認める。ブントは任意の大衆運動団体であり、又、「実行委員会」も「全国運動」も別個に独自の大衆運動組織である。
11 
 同10について、「虚偽の宣伝」の「虚偽」は否認し、その余は不知。
  ・政治結社「青狼会」 総統
  ・反共突撃隊「ファシスト・インターナショナル」 突撃隊長
  ・売春の自由党 事務局長
  ・共産主義者同盟・赤軍派 最終議長
    ・ブント清算事業団 管財人
 という意味不明、支離滅裂かつ破廉恥な肩書を公然と名乗る原告のどのような名誉・信用が毀損されたというのか全く不明である。
12 
同11については争う。
13 
被告らの主張
 (1)
 本件トラブルは、上記2(1)(i)のとおり、1997年7月8日の原告のブントに対する好戦的な内容のビラの挑発的な配布と「H君」に対する暴力から始まったものであり、原告適示の記事はいずれもブントに敵対し、支離滅裂な肩書を公然と名乗る原告のいわれなきブント攻撃に対する抗議及び組織防衛のためのもので、客観的に見れば、敵対関係における文書の応酬(文書合戦)であって、しかも適示記事に原告文書の引用に誤りはなく、他方、原告に適示文書によって毀損され得る名誉や、信用があるとは考え難い。「ブント清算事業団」は編集発行人を「佐藤悟志」として“SEISAN”なる「機関紙」を不定期刊行しているが、スローガンは「岱介主義の偽造延命を放棄・解散へ!」としており、又、「ブント事業団」ホームページも開設し、これらの媒体を用いてブントに対する誹謗中傷を繰り返している。本訴も又、ブント攻撃の一つとしてなされたものである。
(参考判例)
 ①
東京高裁昭和45年11月27日判決(判例時報6145 52頁)
 日医ニュース事件(執行部の反執行部派に対する批判記事)
 「人が自己の正当な利益を獲得するために、止むを得ず他人の名誉・信用を毀損するが如き言動をなすことがあっても、かかる行為はその他人が行った言動に対比して、その方法、内容において社会的に認容される限度を超えない限り違法性を欠く」
 ②
熊本地裁八代支部平成2年3月30日判決(判例時報 1355号 121頁)
 水俣病患者支援運動の相対立する二つの立場の一方から他方になされた非難・攻撃に対して反論・批判した新聞記事が名誉毀損にあたらないとされた事例
 ③
横浜地裁平成6年2月1日判決(判例時報 1521号 100頁)
 進歩党「悪徳弁護士」呼ばわり事件
 「自己の正当な利益を保護するために、やむを得ず他人の名誉を毀損するような言辞を用いて反駁した場合、その表現内容だけを切り離して考えると相手方の名誉を侵害するものであっても、そこに至った経緯に照らすと、相手の名誉を毀損するような現時を用いたことには無理からぬ事情が存在し、かつ、相手のとった言動を対比して、その方法、内容において一般社会通念上それもまた自然の成り行きとしてやむを得ないと考える限度を超えないかぎり、その行為は違法性を欠き、名誉毀損による不法行為とはならないと解するのが相当である。」
 (2)
 消滅時効について
 仮に名誉・信用毀損が認められるのだとしても、それは適示記事が機関誌に掲載された時点で成立し、かつ、不法行為としてはその時点で終了しているものである。平成13年5月に「ブント公式サイト」に掲載されたのは、機関誌のバックナンバー検索用であって、その内容は各適示記事そのままであり、新たに名誉・信用毀損となるものとはなっていない。よって
 ・「7.16ロフトプラスワンの血気」は1997年10月15日
 ・「7.8ロフトプラスワンの幕開け」は1997年10月25日
 ・「ロフトプラスワンの波紋」は1997年11月5日
 ・「ストーカー・小林義也『逆恨みの人生』」は1999年11月5日
 ・「『売春の自由党』佐藤悟志の処世術」は1999年11月15日
から各3年を経過した各時点で時効となっているので、被告らは消滅時効を援用する。
 仮に平成13年5月の「ブント公式サイト」の掲載が新たな不法行為となるとしても、平成16年5月には3年を経過しているので同じく時効となっている。本件提起はその後のことである。


第2
 平成16年(ワ)第17780号事件の被告前田の認否・反論

 被告ブントについては原告の主張整理を待って行う。
 請求原因1(2)の被告前田関係部分については「専従活動家」との主張は否認し、その余は認める。
 同2(1)について
 
(1)
 同①について
 
( i
)荒がブントの代表者かは第1.2(1)(i)の被告荒の主張による。
(ii
)その余は概ね認めるが、上記1、2(1)(i)のとおり、トラブルの契機をつくったのは原告である。仮に原告に損害が生じたとしてもそれは原告が自招したものであり、仮に被告に責任があるとしても、原告の過失割合は大きい。
(2)
 同③については「原告を黙らせるため」以下は否認し、その前までは認める。原告のブント批判がおかしいと指摘した「H君」に原告が暴力を加えたことに抗議したものである。
(3)
 同③について
 
( i
)第1段落は否認する。約10人は店の近くにバラバラいたものであり、原告と話をするためにそこにいたものである。もみ合いになったことは認めるが、原告はナチス棒と催涙スプレーを持っていた。「地下スペースに引きずり込み」というが、それは中一階の店の下であり、もみ合ったままそこに移ったにすぎない。
( ii
)第2段落は不知。
(iii
)第3段落は、ロフトプラスワンのスタッフが来てもみ合いが止んだこと、バラバラにその場を立ち去ったことは認め、「集団暴行」「数分間」「逃走した」との主張は否認し、「来店客が駆けつけた」かは不知。もみ合いはせいぜい1分足らずで終わっている。
(4)
 同④は不知。但し、けんかになったのは知っている。
 同2(2)については
 
(1)
 同①については不知。
(2)
 同②〜④は被告ブントの認否に従う。
(3)
 同⑤については「以下のように虚偽の経緯や原告による暴力を捏造し、それを宣伝した」との主張は否認し、その余は認める。
 同2(3)の①については否認し、②については争わない。
 同3についてはいずれも争う。
 同4について
 同3の(1)、(2)の平成9年7月16日の件に、原告はこの中に被告前田がいたことを認識できなかった、との主張は否認する。被告前田は1989年6月日比谷野音の集会に参加する際、警察庁機動隊により公園内で行われていた検問に抵抗したとされ公務執行妨害の現行犯で逮捕されたが拘留が付かずに3日で釈放となった。その後同年8月にはこの逮捕が違法だとして東京都を被告にいわゆる検問問題訴訟を提起し、大小様々な集会において裁判報告を出し、検問の廃止を訴え続けてきた。このことにより原告が被告前田の顔を知らないということは考え難い。原告の主張は結局、被告が「前田」という氏名だったことを平成14年2月2日に知った、ということを言っているものであるが、「加害者を知る」とは加害者の姓名(「前田」)まで知る必要はない。よって同3の(1)、(2)に係わる損害賠償請求はそれが仮に認められるとしても平成12年7月16日の経過により時効によって消滅している。
 同5について
 
(1)
 同(1)ないし(4)は不知。なお(3)については中古の安いトランジスタメガホンのコードが切れただけで数百円で部品取替えが可能なものである。
 同6については争う。
 被告前田の主張
(1)
 請求の趣旨第1項については上記5のとおり、消滅時効を援用する。
(2)
 請求の趣旨第3、4項については、上記第1、13、(1)と同旨である。原告が5〜6頁を引用する(i)〜(v)の文章は全て真実であり、名誉・信用毀損と指摘される事項は何もない。

 佐藤注記
  1.第2の3が二つあるのは原文のママ。



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