対ブント民事訴訟 準備書面(1) |
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平成16年(ワ)第11268号
平成16年(ワ)第17780号
原告 佐藤 聡
被告 政治組織「ブント」外
準備書面(1)
平成17年4月4日
東京地方裁判所民事第1民事部合1係 御中
原告 佐藤 聡
第1 被告「ブント」に対する訴訟について
1 原告は,被告荒岱介らに対する請求(平成16年(ワ)第11268号,以下「荒ら事件」という)においても,被告前田浩喜らに対する請求(平成16年(ワ)第17780号,以下「前田事件」という)においても,被告ブントを被告とし,同被告に損害賠償の請求をしている。
2 ところで,「荒ら事件」において,原告が被告ブントの不法行為としているのは,「被告ブントが,その機関紙『SENKI』に,被告前田を除く被告荒らによる原告の名誉を毀損する記事を掲載し,さらにその記事を被告ブントの公式サイトにも掲載した」ことである。一方「前田事件」において,原告が被告ブントの不法行為としているのは,「被告前田の原告に対する器物損壊について前田への教唆及び被告前田が執筆した原告の名誉を毀損する記事のブント公式サイトへの掲載」である。
3 このように,両事件における原告の被告ブントに対する損害賠償の対象は異なっているのであり,二重起訴にはならない。
第2 訴状(第11268号)「請求の原因2,(2)」の一部訂正
1 「② しかし,被告らは」を「② しかし,被告ブント及び被告荒岱介は」に訂正する。
2 「③ 続いて被告らは」を「③ 続いて被告ブント及び被告荒岱介は」に訂正する。
3 「④ 続いて被告らは」を「④ 続いて被告ブント及び被告文人正こと荒岱介は」に訂正する。
4 「⑤ さらに被告らは」を「⑤ さらに被告ブント,被告荒岱介及び被告今井俊政は」に訂正する。
5 「⑥ さらに被告らは」を「⑥ さらに被告ブント,被告荒岱介及び被告北健一こと田中弘尚は」に訂正する。
第3 被告ブントが法人格なき社団である事実
1 権利能力なき社団と言いうるためには,①団体としての組織を備え,②多数決の原則が行われ,③構成員の変更にもかかわらずその団体そのものが存続し,④その組織において,代表の方法,総会の運営,財産の管理その他団体としての主要な点が確定していることを要するものとされている(最判昭39.10.15,民集18−8−1671)。
2 本件における被告ブントについてみてみると,「戦旗・共産主義者同盟規約」(甲第30号証)が存在し,①「同盟員−同盟大会−中央委員会−政治局」という体裁を整えた組織であり,②「同盟の全ての会議は全体の過半数の出席をもって成立し,出席者の過半数以上の賛否で議決される」(〈C〉同盟の組織原則③)こととなっており,③同盟員については「同盟の規約を認め,・・・・誰でも同盟員となることができる。」(〈B〉同盟員①)とともに,「同盟からの脱退の自由」(〈B〉同盟員③ニ)が認められて,構成員の変更にかかわらず存続することが前提となっており,さらに④「同盟員−同盟大会−中央委員会−政治局」という組織構造が規定され,財政についても(〈K〉同盟の財政)として,規約に規定されている。
上記の外,(1)機関誌「SENKI」を被告ブント名義で毎月3回発行していること,(2)「グラン・ワークショップ」と称する数百人規模の政治集会を年2回開催していること,(3)インターネット上に被告ブント名義で公式ホームページを掲載・公開して,機関誌発行毎に更新していること,(4)傘下に印刷会社,出版会社を有し,その印刷会社名義で不動産まで所有していること,などを考え併せれば,被告ブントは上記最高裁判決の「権利能力なき社団」としての条件を十分満たしており,当事者能力があることは明らかである。
第4 被告荒岱介が,被告ブントの代表者である事実
1 甲第15号証(新聞記事)によれば,被告荒は「戦旗・共産同」(現「ブント」)の「最高幹部」であるとされており,即代表者であることを裏付けている。
2 被告荒自身が著者となっている「左翼思想のパラダイム・チェンジ」(1995年,実践社発行)記載の略歴によれば,「社会主義学生同盟委員長などを経てブント(共産主義者同盟)を主宰」(甲第31号証)と明記されており
3 被告荒岱介が,著述業本橋信宏の取材に答えたインタビュー集「悪人志願」(1999年,(株)メディアワークス発行)に掲載されている被告荒の人物紹介には,「大学在学中より革命運動に参加,第2次ブント当時の社学同委員長として東大安田闘争などを指導する一方,機関誌「理論戦線」を復刊して理論活動を行った。69〜70年の第2次ブント分裂の際に戦旗(日向)派結成に動き,そのリーダーとなる。戦旗社を創立し,新聞「戦旗」を創刊。」「90年には社名をせんき社に改称。」などと記載されている(甲32号証)。
上記記述によれば,被告荒は被告ブントの代表者であり,せんき社代表「文人正」であり,「戦旗」(現「SENKI」)や「理論戦線」(現「理線」)の刊行者であることが認められる。
4 朝日新聞社発行の雑誌「論座」の2000年11月号に掲載されたインタビュー記事「叛乱者グラフィティ」に被告荒が登場して宮崎学(作家)と対談した際の肩書きも,「荒岱介,ブント(BUND)代表」となっている(甲第33号証)。
以上のことから,「文人正」が被告荒岱介の筆名である事実は明らかである。
第5 被告荒岱介が,「文人正」である事実。
1 「ロフトプラスワンの波紋」を執筆した「文人正」は,それ以前に「ブントはタバコをやめました」と題した文章を執筆し,被告ブントの機関紙「SENKI」第832号(1995年3月15日付発行)に掲載した(甲第34号証)。続いて,「マイホーム主義ではね」と題した文章を執筆し,「SENKI」第833号(1995年3月25日付発行)に掲載した(甲第35号証)。
2 上記2つの文章は,被告ブントの理論機関誌「理論戦線」の44号(1995年5月10日付発行)にも収録された。その際の筆者名も「文人正」と記されている(甲第36号証)。
3 そして上記2つの文章は,1995年6月30日付で,被告ブントの組織内部局である「実践社」から発行された単行本「左翼思想のパラダイム・チェンジ」に収録された(甲第37号証)。この単行本の著者は「荒岱介」であると,単行本そのものに明記されている(甲第31号証)。
4 すなわち,「文人正」名義で発表されてきた2つの文章の著者が荒岱介であることを,被告ブントと被告荒岱介自身が公然と開示しているのである。
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