宇多田ヒカル 8th Single



FINAL DISTANCE





山下玲奈ちゃんへ
守りたいものすべてへ
宇多田ヒカル
6.15.2001

*****   *****   *****


2001年6月11日付朝日新聞より

 みんなの夢 忘れない

  -大阪の児童殺傷-



 いろんなくにのことばをおぼえたい。せかい一しゅうをしたい。本をたくさんかいて、いろんな人によんでもらいたい−−大阪・池田の小学生殺傷事件で襲われた子どもたちは、それぞれに将来を夢見ていた。凶行は、子どもたちの夢を、命もろともに奪った。


 亡くなった8人は、1、2年生だった。うち7人は今年3月、2年生になる直前に編んだPTA会報「はぐくみ」に自分たちで似顔絵を描き、ひとことずつ夢をつづった。
 同じころ学校がまとめた文集「友がき」にも猪阪真宥子ちゃん木曽友香ちゃんの作文が掲載されている。
 真宥子ちゃんは、神戸の王子動物園へ遠足に行った思い出を書いた。
 「どうぶつたちを見ていたら、わたしもどうぶつになったようでした。なかでもとくに、ペンギンになって水そうの中をきもちよくおよいでみたかったです。ペンギンは、まるでさかなのようにすごいスピードでおよいでいました。わたしも、ラッコおよぎなどのれんしゅうをしているので、『ペンギンのようにおよげたらいいな』と、おもいました」
 友香ちゃんは、自分たちで育てたイモを料理した「おいもパーティー」のことをつづった。
 ペアを組んだ2年生といっしょに食べた。別の友達に、その2年生と「顔が似ている」と言われて、いっしょに笑った。優しいお姉さんだった。「わたしも、あたらしい一年生にやさしくしてあげようとおもっています」

親が友が最後の別れ


 事件の犠牲になった児童8人の葬儀が10、11の両日、大阪府や兵庫県で営まれた。
 大阪府豊中市では、酒井麻希ちゃん(7)の葬儀があり、同級生4人がお別れの言葉を贈った。父親は「大きくなってどんなボーイフレンドを連れて来るのか、そしてやがて結婚することを夢見ていた」と言葉を詰まらせたという。
 同じ会場で営まれた森脇綾乃ちゃん(7)の葬儀では、父親が「頑張り屋で将来どんな子になるか楽しみにしていました」と述べたという。
 同市の別会場であった猪阪真宥子ちゃん(7)の葬儀では、「夏休みにはユニバーサルスタジオに行きたい」などと、真宥子ちゃんが書いた作文が披露された。
 大阪府吹田市では戸塚健大君(6)の葬儀があった。父親は「健康で大きく育ってほしいという願いを込め、『健大』と名付けた」とあいさつし、涙を誘った。本郷優希ちゃん(7)の葬儀は同府池田市内であり、同級生や父母らが遺影に手を合わせた。
 山下玲奈ちゃん(8)の葬儀は、兵庫県宝塚市の葬儀会場で開かれた。父親の恵市さんは「私たちが天国に行くまで待っていて」と話したという。
 同じ会場で営まれた塚本花菜ちゃん(7)の葬儀では、父親が「一体、何人の犠牲者を出したら、こんな事件がなくなるのか」と声を震わせた。
 一方、木曽友香ちゃん(7)の通夜は、大阪府吹田市で営まれ、約600人が参列した。葬儀は11日に営まれた。


   がいこくのともつくる

がいこく人のおともだちをいっぱいつくりたいので、えいごをしゃべれるようになりたいです。

まゆこ (猪阪真宥子ちゃん)


   本をたくさんかきたい

わたしは、本をよんだり本のぶんをかいたりするのがすきだから、本をたくさんかいて、いろんな人にその本をよんでもらいたいです。

まき (酒井麻希ちゃん)


   せかいのひととはなす

わたしは、いろんなくにのことばを、おぼえて、せかいをまわって、いろんなひととおはなししてみたいな。

ゆか (木曽友香ちゃん)


   21せいきのケーキつくる

21せいきになったら、いままでにないおいしいクッキーやケーキをつくれるようになりたいです。

かな (塚本花菜ちゃん)


   きょうせいのせんせいに

大きくなったらきょうせい(教育実習生)のせんせいになりたい。おもいでがたくさんできるし、たのしいから。

ゆき (本郷優希ちゃん)


   スペースシャトルつくる

スペースシャトルをつくって、そのなかのやくだつロボットをつくってみんなをのせてみたいです。それでせかい一しゅうをしたいです。

あやの (森脇綾乃ちゃん)


   おどれるかしゅになる

しょうらいかしゅになりたいです。うたはたのしいし、わたしはおどるのがすきだからです。すきなかしゅはうた田です。

れな (山下玲奈ちゃん)

<PTA会報「はぐくみ」51号から>




TOPUPHOME