SAKURAドロップス |
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好きで好きでどうしようもない
それとこれとは関係がない
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2002年6月3日付朝日新聞より
亡き子のため「何かを」
付属池田小事件 8日で1年
児童8人が死亡、児童と教諭計15人が重軽傷を負った大阪府池田市の大阪教育大付属池田小学校の殺傷事件から、8日で1年になる。8人の父母は毎月のように集まり、話をすることで支え合ってきた。悲しみと向き合いながら、生きる道を懸命に模索している。
父母「生きる道」を模索
7歳だった長女麻希ちゃんを失った酒井肇さん(40)、智恵さん(41)夫妻は5月上旬、米国へ渡った。訪れたのはコロラド州リトルトンの墓地。芝生の緑がまぶしい墓地の一角に、13の十字架が並ぶ。3年前、銃乱射事件で犠牲になったコロンバイン高校の生徒ら13人の遺族が、「亡くなったわが子らと語り合う場所に」と設けた。
花束をささげた2人は、「こんなに明るい緑の中で、子どもたちに思いをはせる場所ができたらいいな」と思った。
事件当夜、自宅に戻った麻希ちゃんの手は驚くほど冷たかった。3カ月後、廊下に残った小さな手の形の血痕がDNA鑑定で娘のものとわかった。教室の入り口付近で刺された後、担任を追って廊下を逃げ、59メートル先で力尽きた。「必死で生きたいと願った娘の死を無駄にしない」と、誓った。
見舞いの手紙に、コロンバイン高校の教師だった義弟を亡くしたメロディー・スミスさん(42)の封書があった。「悲しみと向き合いながら、どう暮らしているのか聞いてみたい」。そんな気持ちから訪米を決めた。
米国ではスミスさんら5遺族と話し、コロンバイン高校も訪れた。
同じ境遇のドーン・アナさんは「すべてが消え去ったわけじゃない。麻希ちゃんの魂はいつもあなたのそばにいる」と語った。智恵さんも、同じ事を考えていた。少し救われた気がした。
夫妻は全米殺人事件遺族連盟の会長のゲイル・リーランドさん(52)にも会った。約20年前、殺人事件で14歳の息子を亡くし、被害者支援を始めた人だ。智恵さんは「娘に手を掛けてやることはもうできない。何かすることで死を意味づけてあげたい。でも何をしていいか」と打ち明けた。「きっと何か見つかる。あせることはない」とリーランドさんは言った。
付属池田小事件で亡くなった8人の児童の父母は昨年8月、ホームページ をつくり、学校の安全対策や被告の厳罰を求める署名を呼びかけた。
1年生の健大君を失った戸塚伸夫さんと肇さんは11月、東京であった被害者支援を考えるシンポジウムで心境を語った。同意なしの司法解剖、学校の対応の遅れ、報道被害など、抱いていた疑問をぶつけた。戸塚さんは「子どもたちの無念さを言葉にして伝えなければ、と思った」と言う。
殺人罪に問われている宅間守被告(38)の刑事裁判は、27日の第10回公判で本人尋問が始まる。
女児を失ったある父親は法廷に足を運ぶ。「あの日、何もしてやれなかった代わりにせめて娘の身に起きたことのすべてを知っておきたい」と。
大阪教育大付属池田小学校児童ら殺傷事件
01年6月8日午前10時すぎ、大阪府池田市の同小に宅間守被告(38)が包丁2本を持って侵入。四つの教室などで1、2年生8人を殺害、児童13人と教諭2人に重軽傷を負わせた。
***** ***** ***** (改行・太字化は佐藤)