対ブント民事訴訟 訴状2 |
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訴 状
平成16年8月20日
東 京 地 方 裁 判 所 御中
原告 佐藤 聡
当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり
損害賠償等請求事件
訴訟物の価額 金520万円
貼用印紙額 金3万2000円
第1 請求の趣旨
1 被告前田浩喜は,原告に対し,金200万円及び本訴状送達の日の翌日から支払い済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告前田浩喜及び被告ブントは,原告に対し,連帯して,金300万円及び本訴状送達の日の翌日から支払い済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。
3 被告ブントは,「ブント」公式サイトに掲載中の記事「ブントストーカー小林義也のビラに反論する」を削除せよ。
4 被告前田浩喜及び被告ブントは,原告に対し,別紙謝罪文目録記載の謝罪文を各々交付せよ。
5 訴訟費用は被告らの負担とする。
6 1,2項につき仮執行宣言
第2 請求の原因
1 当事者
(1 )原告,佐藤聡は,昭和40年生まれの男性であり,昭和57年春頃から同61年末まで,被告ブントの下部組織「神奈川労共闘」に所属し,現在は「佐藤悟志」の筆名で,人権擁護活動を行っている。
(2 )被告ブント(旧名「戦旗・共産主義者同盟」)は,これまでに盗聴・放火・ロケット弾発射などのテロ・ゲリラ事件を引き起こしてきた過激派セクトである。代表者の名前が荒岱介であることから,新聞等では「戦旗荒派」とも表記される(甲第1号証・新聞記事)。インターネットの上に公式サイト(ホームページ)を開設している( http://www.bund.org )(甲第2号証・「ブント」公式サイトのトップページのプリントアウト)。機関紙発行部門である「せんき社」(旧名「戦旗社」,甲第3号証・機関紙「SENKI」第1132号(2004年1月15日付発行)第1面),機関紙誌印刷部門である「赤石印刷」(甲第4号証・登記簿謄本),機関誌出版部門である「実践社」(甲第5号証・登記簿謄本)などの組織内部局を持つ。組織の本部ビルとして埼玉県蕨市塚越1丁目13番3号に「塚越ビル」(甲第6,第7号証・全部事項証明書),同市塚越2丁目18番6号に「エピステーメ」(甲第8,第9号証・全部事項証明書)と称する2つの土地建物を所有する。
被告高倉典膳こと前田浩喜は,被告ブントの専従活動家であり,被告ブントの公式サイト掲載記事「ブントストーカー小林義也のビラに反論する」の筆者である(甲第10号証・新聞記事)。
2 被告らの不法行為
(1)被告による集団暴行
① 原告は,平成9年7月8日,東京・新宿にある「ロフトプラスワン」というトーク居酒屋で行われた「飛翔主義と若者の俯仰」と題したトークイベントに客として参加し,被告ブントと代表の荒を批判するビラをまくとともに,当日の出演者であった荒を質疑応答の時間に追及した。
当日百人近く来店していた被告ブントの活動家は反発し,大声で怒鳴るなどの行為に及んだが,原告の行為があくまで言論・表現の範囲にとどまるものであり,なおかつロフトプラスワンのルールに則った行為であったためそれ以上の妨害が出来ず,その日は引き下がらざるを得なかった。
② ところが,翌週に,同所で原告が主催するトークイベント「飢饉・独裁・拉致・粛清 北朝鮮と『よど号』の現実」があることを知った被告前田をはじめとする被告ブントの活動家は,被告ブント批判を行う原告を黙らせるために,原告を襲撃して集団暴行を加えることを計画し,平成9年7月16日,ロフトプラスワンの周辺を集団で包囲し,午後5時頃には待ち伏せの体制を整えた。(甲第11号証・パンフレットの目撃証言のページ)
③ そうとは知らない原告は,午後7時15分ころ,ロフトプラスワンが入居しているビル(以下「本件ビル」という)の前に到着し,本件ビルに入ろうとしたところ,約10人で待ち伏せていた被告ブントの襲撃部隊が,原告を本件ビル入り口付近の階段の上から突き落とすなどの実力行為によって本件ビルの地下スペースに引きずり込み,集団で殴る蹴るの暴行を加え,その結果原告は頭部顔面外傷等の傷害を負った(甲第12号証・写真撮影報告書)
この襲撃の様子は,たまたま店の前で昔からの友人の被告ブントの活動家を見つけて話をしていた訴外漫画家山本洋一郎(以下「山本」という)によって目撃された。目の前で話をしていた被告ブントの活動家も加わったこの襲撃に驚いた山本は助けを呼ぼうとしたが,逆に被告ブントの活動家2人によって羽交い締めにされ,口をふさがれる暴行を受けた。
なお,原告に対する被告ブントの集団暴行は数分間続いたが,襲撃に気づいたロフトプラスワンのスタッフや来店客が駆けつけてきたため被告ブントの活動家らは暴行をやめ,分散して逃走した。
④ 原告は,この集団暴行によって被害を受けたが,当日のイベントの主催者であったため,負傷をおしてロフトプラスワンに辿り着き,イベントを開催した。イベント自体は平穏の内に遂行し,会場との討論も活発に行われ,暴行や襲撃は起きなかった。
しかし,同日午後11時30分ころ,原告が再度被告ブントへの批判を口にしたところ,店外から突然乱入してきた被告前田をはじめとする被告ブントの活動家数人が,「テメエまだ言ってんのか」などと叫びながら,演壇に飛び乗って再び原告に殴る蹴るの暴行を加え,取り押さえようとしたロフトプラスワンの店員や客にも暴行を働いて逃走した。
原告は被告前田をはじめとする被告ブントの活動家の2度に亘る集団暴行で頭や顔,眼などに最大全治18日間の傷を負い(甲第13,14号証・診断書),イベントも中止せざるを得なかった。
ちなみにこの2回目の襲撃は,ロフトプラスワンが設置していた記録用のビデオカメラ,及び当日取材していた記者のビデオカメラによって偶然撮影され,その一部始終が記録されている(甲第15号証・ビデオテープ)。
(2)被告らによる原告の名誉毀損行為と3度目の集団暴行
① その後,原告の友人らが「ロフトプラスワン襲撃を許さない共同声明」運動を行い,被告ブントによる集団暴行事件をチラシやインターネットを用いて告発すると共に,被告ブントに対して「釈明と謝罪を求める申し入れ」を郵送した(甲第16号証・パンフレット)。
② しかし,被告ブントらは謝罪を行うどころか,ブントの機関紙である「SENKI」の紙上において,組織的・計画的襲撃の事実を隠蔽するために虚偽の経緯や原告による暴力を捏造し,5回に渡ってその記事を掲載し,原告の信用を毀損する虚偽の宣伝を行った(甲第17号証・訴状・東京地裁平成16年(ワ)第11268号)。
③ 被告ブントは,原告に対するこうした虚偽宣伝を継続することで活動家らを扇動し,平成12年6月15日には,被告ブント批判のビラを製作した原告に集団暴行を加え,口内裂傷の怪我を負わせた(甲第18号証・診断書)。
④ 被告ブントは,平成13年5月末には5つの記事をインターネット上の「ブント」公式サイトに掲載し,さらに原告の名誉・信用を毀損する虚偽の宣伝を行った(甲第17号証・訴状・東京地裁平成16年(ワ)第11268号)。
⑤ これに続いて被告前田は,平成13年9月27日付で「ブント」公式サイトに掲載した「高倉典膳」名義の文章「ブントストーカー小林義也のビラに反論する」において,平成9年7月16日の2回の襲撃に参加して原告に暴行を加えたことを自ら告白したが,その一方で以下のように虚偽の経緯や原告による暴力をねつ造し,それを宣伝した(甲第19号証・「ブント」公式サイト掲載記事のプリントアウト)。
(i)平成9年7月8日とそれ以前について
原告が「嘘と中傷で固められたビラを撒いたことに対して,抗議したブントのH君をひっぱたき,顔面にけがを負わせた」
原告が「それ以前にも,ロフトプラスワン内で喧嘩沙汰を何度も起こしていることは周知の事実」
(ii)平成9年7月16日の第1次襲撃事件について
「暴力をふるったのはお互い様だ、やられたから佐藤は何もやっていないなどと言っているだけである。」
「H君をはじめとした私たちがロフトプラスワンの手前で佐藤に話しかけたところ,佐藤はその話を一切聞こうともせずにロフトプラスワン内に走り込もうとした。肩に手をかけて佐藤を止めたところ,佐藤が所持していたナチス棒(伸縮式の鉄パイプ)を取り出したために,殴り合いになった。」
(iii)平成9年7月16日の第2次襲撃事件について
「ちなみに,2度目の襲撃とされるその日のロフトプラスワン内での事件は,H君と私が,自分がH君をひっぱたいたことについては黙ったまま,被害者のように振る舞う佐藤に対してこみ上げる怒りを抑えることができずに,壇上の佐藤に対して殴りかかった事件である。これは私が,友人であり仲間であるH君への暴力を許せないという気持ちがたかぶって行ってしまった行為であり,組織的犯行ではなく個人的憤激である。ロフトプラスワンそのものに対する襲撃でもなんでもない。要するに喧嘩の延長である。」
(iv)平成12年6月15日の第3次襲撃事件について
「これはそもそも再び中傷ビラが撒かれたことに対して,ロフトプラスワン内ではなく,店外に出て佐藤と討論しようと促した長田氏に,佐藤が手を払い,さらに佐藤と一緒にいたGが五万円もしたメガネを奪いレンズを割るという行為を働いたことが発端だ。」
(v)その他
「佐藤も戦旗が右翼との攻防を闘っている時に持ち場を放棄し、敵前逃亡した自分の経歴についてはひた隠しにしている。」
(3)被告による器物損壊
① さらに平成13年10月21日,被告前田は港区立檜町公園入口において,被告ブントの批判に使用した原告のトランジスタメガホンのマイクを原告から奪ってコードを引きちぎり,使用不能にした(甲第10号証・新聞記事)。
② 平成13年の事件に関しては平成14年9月20日,東京地方裁判所において,器物損壊の罪で被告前田を懲役6月執行猶予3年に処する有罪判決が下された。そして被告前田が控訴しなかったため既に確定している(甲第20号証・判決文のメモ)
3 被告らの責任
(1 )原告は,平成9年7月16日午後7時15分ころ,本件ビル内において,被告前田をはじめとする被告ブントの活動家多数によって集団暴行を受けて負傷した。被告前田はこの行為につき民法第715条の責任を負う。
(2 )さらに,原告は,同日午後11時30分ころ,ロフトプラスワン店内において,被告前田をはじめとする被告ブントの活動家複数によって集団暴行を受けて負傷し,自ら主催したイベントも中止に追い込まれた。この行為についても被告前田は民法第715条の責任を負う。
(3 )また,平成13年9月27日付で被告ブントの公式サイトに被告前田の「ブントストーカー小林義也のビラに反論する」なる文章が掲載され,原告は組織的計画的襲撃の被害者である事実を隠蔽されるとともに,暴力的加害者である等の虚偽の宣伝を行われ,著しく名誉・信用を毀損された。上記公式サイトにおける掲載は,被告ブントによって約3年も行われ続け,現在も継続されている。被告両名の上記行為については民法第715条により賠償責任がある。
(4 )さらに,原告は,平成13年10月21日,被告ブントによって唆された被告前田により,原告が所持していたトランジスタメガホンを壊される暴行を受けた。この行為について被告両名には民法第715条により賠償責任がある。
4 被告らの不法行為の時効起算日
上記(1)の「被告による集団暴行」は,被告ブントの多数の活動家が計画的に参加し,なおかつ襲撃後直ちに逃走するという組織的なものだったため,原告はこの中に被告前田がいたことを認識できなかった。
上記集団暴行に被告前田が参加していたことを原告が知ったのは,上記(2)の「被告らによる原告の名誉毀損行為と3度目の集団暴行」中にある「高倉典膳」名義の「ブントストーカー小林義也のビラに反論する」なる文章を読み,なおかつ,平成13年10月7日の反戦集会でのビラ撒きを自称「高倉」なる人物に妨害され,さらに同年10月21日にその人物にトランジスタメガホンを破壊された末,その人物の戸籍名が「前田浩喜」であることを知った平成14年2月2日のことである。
したがって,上記(1)の「被告による傷害・集団暴行」についての民事訴訟の起算点は,早くとも平成14年2月2日であり,起算日より3年以内に提起された本訴について時効は成立しない。
5 原告の損害
(1 )上記3,(1)における被告前田の行為により原告が被った損害は,金銭に評価して金100万円を下らない。
(2 )上記3,(2)における被告前田の行為により原告が被った損害は,金銭に評価して金100万円を下らない。
(3 )上記3,(3)における被告前田と被告ブントの行為により原告が被った損害は,金銭に評価して金200万円を下らない。
(4 )上記3,(4)における被告前田と被告ブントの行為により原告が被った損害は,金銭に評価して金100万円を下らない。
(5 )原告が上記不法行為によって被った被害を回復するためには,金銭賠償の外に原状回復のための措置として,名誉毀損該当記事の削除及び謝罪文の交付が不可欠である。
6 結語
よって,原告は,不法行為による損害賠償(民法第715条)として,被告前田に対して金200万円,被告ブント及び被告前田に対し連帯して金300万円,及びいずれについても本訴状送達の日の翌日から支払い済みに至るまで年5分の割合による金員の支払いを求めるとともに,民法第715条,民法第723条により当該記事の削除及び謝罪文の交付を各求め,本訴を提起する。
証 拠 方 法
1 甲第1号証 新聞記事 1通
2 甲第2号証 「ブント」公式サイトのトップページのプリントアウト 1通
3 甲第3号証 機関紙「SENKI」第1132号(2004年1月15日付発行)第1面 1通
4 甲第4号証 登記簿謄本 1通
5 甲第5号証 登記簿謄本 1通
6 甲第6号証 全部事項証明書 1通
7 甲第7号証 全部事項証明書 1通
8 甲第8号証 全部事項証明書 1通
9 甲第9号証 全部事項証明書 1通
10 甲第10号証 新聞記事 1通
11 甲第11号証 パンフレットの目撃証言のページ 1通
12 甲第12号証 写真撮影報告書 1通
13 甲第13号証 診断書 1通
14 甲第14号証 診断書 1通
15 甲第15号証 ビデオテープ 1通
16 甲第16号証 パンフレット 1通
17 甲第17号証 訴状(平成16年(ワ)第11268号) 1通
18 甲第18号証 診断書 1通
19 甲第19号証 「ブント」公式サイト掲載記事のプリントアウト 1通
20 甲第20号証 判決文のメモ 1通
附 属 書 類
1 訴状副本 2通
2 甲号証写し 各3通
3 訴訟委任状 1通
4 証拠説明書 3通
当 事 者 目 録
〒279―**** 千葉県浦安市***丁目*番*号****
原 告 佐藤 聡
〒335―**** 埼玉県蕨市塚越1丁目13番3号
被 告 政治組織「ブント」
上記代表者 荒 岱介
住所不明
(送達先)〒335―**** 埼玉県蕨市塚越1丁目13番3号塚越ビル
被 告 前田浩喜
謝罪文目録1
ロフトプラスワン襲撃事件及び「ブント」公式サイト掲載記事並びに器物損壊事件についての謝罪
私は,1997年7月16日,新宿の「ロフトプラスワン」において,佐藤悟志氏を2度にわたって集団で暴行し,佐藤氏を負傷させるとともに,佐藤氏が主催したイベントを暴力によって妨害・破壊し,店や来店客に対しても被害を与えました。
また,私は,「ブント」公式サイトに掲載した「高倉典膳」名義の文章「ブントストーカー小林義也のビラに反論する」において,「ブント」による佐藤氏への組織的・計画的襲撃の事実を隠蔽するとともに,「佐藤氏による暴行」をねつ造し宣伝することによって,佐藤氏の名誉・信用を著しく毀損しました。
さらに私は,2001年10月21日にも佐藤氏の「ブント」批判を暴力で封じ込めようとして,佐藤氏のトラメガのマイクを引きちぎり,破壊しました。
これらの行為について,私はここに深く反省し,貴殿に対して心よりお詫びいたします。
年 月 日
政治組織「ブント」専従活動家 「高倉典膳」こと前田浩喜
佐藤悟志 殿
謝罪文目録2
「ブント」公式サイト掲載記事ならびに器物損壊事件についての謝罪
私たちは,「ブント」公式サイトに掲載した「高倉典膳」名義の文章「ブントストーカー小林義也のビラに反論する」において,「ブント」による佐藤氏への組織的・計画的襲撃の事実を隠蔽するとともに,「佐藤氏による暴行」をねつ造し宣伝することによって,佐藤氏の名誉・信用を著しく毀損しました。
さらに,2001年10月21日にも佐藤氏の「ブント」批判を暴力で封じ込めようとして佐藤氏のトラメガのマイクを引きちぎらせて破壊させました。
これらの行為について,私たちはここに深く反省し,貴殿に対して心よりお詫びいたします。
年 月 日
政治組織「ブント」
代表者 荒 岱介
佐藤悟志 殿