Butterfly Kiss |
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一筋の光を求めて 僕らは未知を生きる
一つだけ今信じた
愛すべき人のために
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2002年3月23日付朝日新聞より
祖国を捨て、草原を越え、砂漠を歩き… 北朝鮮から中国経由
亡命、目指すはモンゴル 1000キロ、ひそかに移動
北朝鮮からの韓国亡命が相次ぐ中、中国経由でモンゴルに向かうルートが注目され始めた。関係国は亡命希望者の存在を公式に認めていないが、モンゴル軍関係者は朝日新聞に対し、昨年1年間で逮捕した中国経由の北朝鮮の密入国者が50人以上に上り、増加傾向にあることを明らかにした。中国と国境を接するモンゴル側の村、ザミンウドを訪ねた。(ザミンウド<モンゴル南部>=古谷浩一)
人口約6200人の草原と砂漠に囲まれた村、ザミンウド。中国国境から約5キロ離れた鉄道の駅を中心にポツポツと平屋が並ぶ。冬場は零下40度まで気温が下がるため道行く人は少ない。
今月14日夕、この駅で、ウランバートル行きの寝台列車275便が出発しようとしていた時のことだった。中国製の衣料品を買い込んだ担ぎ屋たちでごった返す中、国境警備隊員が乗客を調べ始めた。
切符も身分証明書もない衣服の汚れた男2人が見つかった。2人は緊張した表情で「生活が苦しかった。韓国に行きたい」と話し、北朝鮮から逃げてきたとうち明けた。
工場労働者だという38歳と36歳。北朝鮮から中国東北部に入り、モンゴル国境を目指して約千キロの道のりを来た。最後は歩いて越境したという。
●赤ん坊連れ
ザミンウドでは中国からの北朝鮮密入国者は珍しくない。駅前のタクシー運転手は「今年初めには赤ん坊連れの家族が捕まったのを見た」と話す。軍関係者は「密入国者のうち半分以上が北朝鮮人だ」と明かした。
中国モンゴル国境は4千キロ以上に及ぶ。その大半は無人の砂漠と草原地帯。国境線には鉄条網が敷かれているが、砂に埋もれている場所も少なくない。
最近、モンゴル入りした亡命希望者の多くは、97、98年の北朝鮮の食糧難の直後に中国に越境した人々だ。中国当局に見つかれば強制送還されるため、中国東北部から内モンゴル自治区まで時間をかけ、ひそかに移動。首都ウランバートルにつながる唯一の鉄道線があるザミンウドを目指してきているという。
北京の外交筋によると、北朝鮮から韓国を目指す人々の大半はまず鴨緑江を越え、中国に入る。ここで亡命仲介者に韓国行きを頼めば、東南アジア経由や密航船で直接韓国に行けるが、相場は1人5万元(約80万円)から。北京などの在外公館に駆け込む方法もあるが、中国側の警備は厳しく、協力者が必要だ。
中国東北部にいる北朝鮮からの不法越境者は3万〜15万人といわれる。金も人脈もない人々が、無人の荒野を徒歩で渡るモンゴル・ルートを選んでいるようだ。
●韓国移送か
モンゴル入りした亡命希望者たちは韓国に移送されている模様だ。確認されている例は、00年10月に2家族12人が韓国に引き渡されたことなどわずかだが、「逮捕された北朝鮮からの密入国者は大半が韓国に渡っている」(出入国管理局関係者)という。
モンゴルは90年に韓国と国交を樹立。北朝鮮は97年に在モンゴル大使館を「経済的理由」で閉鎖した。モンゴル政府は「南北朝鮮双方と良好な関係を維持したい」としており、亡命者の韓国行きを認める一方で、それを公表せず、北朝鮮への配慮を示しているとみられる。